私なりの「やさしいビジネス英語」活用法があります。私はこの番組を、まず最初に全部録音してしまいます。この番組は6ヵ月で1クールです。1回20分ですから、1週間分がちょうど120分のテープにおさまります。そして、それを毎朝の通勤電車の中で聞いています。この番組がどのような構成になっているか、簡単に紹介しましよう。まず、番組の最初の部分で、その日の会話に出てくる代表的な例文が出てきます。ポーズ入りで5つの文章が繰り返されます。私はまず1つの文章を聞いて、テキストを見ないで繰り返します。それを2度言ってみます。聞き取れない場合は何度でも納得がいくまで繰り返し聞いてみることが大事です。次に、今度はテキストを開いて2回同じ文章を繰り返し言います。今度は目で追っているわけですから楽に繰り返せます。最後に、今度はテキストを閉じて、また2回繰り返し言ってみるのです。これを5つの文章について繰り返していきます。そして、比較的自然な速さで会話が進みます。これも最初からテキストを読むことは一切しません。耳に聞こえてくるまま同じようにその文章を繰り返します。これは電車の車中でやるわけですから声に出す必要はありません。ささやき声のように言うだけで十分です。この方法はタレントの小林克也氏がいつか話していたのを聞いたのですが、日本人の苦手な子音を強める訓練にもなります。自分もその会話に加わつているつもりで、場面を想像しながら、感情をこめて言ってみることが大切です。まず1回目は、その日の会話の部分を耳で聞きながら、そのまま繰り返して言ってみます。わからないところがあっても気にしないで、全体の意味を取りながら聞こえてきたそのままを繰り返します。そして次はテキストを開いて、本文を見ながら聞こえてくる文章をそのまま繰り返して言うのです。この段階でほとんどの部分は理解できます。最後にもう一度テキストを閉じて、今日の会話の部分を聞こえてくるまま繰り返します。聞こえたままを口に出して言う練習を、同時通訳の訓練でシャドーウィングとか、フォローアップとか呼んでいます。これは自然な英語の流れに慣れるよい練習になります。なお、ラジオ講座を聞く前に何十回もテキストを音読しておくことをすすめている人もいますが、私ははっきり言って反対です。まず耳でどの程度聞き取れるかという点に全力を注ぐべきです。目で見て、文字で確認した後では、リスニングの訓練にはなりません。初めて耳に入ってくる音に注意を集中させて、聞き取るようにすべきです。上級をめざす人にはそのくらいの心構えがほしいものです。たとえば、国際会議に出て、誰かの発表を聞こうとするときに、前もって発表原稿を手に入れて何十回も読んでおくことなどはできません。