ファッションゲームにおいて果たすべき役割

2011.06.06

かつてのような由緒ある社交界の名花というものは絶滅したと論ずる人もいるだろうが、その後継者のスケジュールは今もいっぱいだ。彼女たちにとって、ファッション業界の知人は分刻みで増え続けている。『W』や『クォーク』などのファッション誌は、毎号、アレクサンドラーフォンーファーステンバーグやリナーシンディ、エアリンーローダー、ブルックデ・オカンポ、ヒルトン姉妹といったお洒落な若き美女たちが、パーティ仲間のヒップなDJやモデル、映画スター、アーティストに混じってカメラにポーズをとる写真を掲載している。ファッションヴィクティムは大喜びでそうした写真を食い入るように見つめ、カレンーグルースがエイズのチャリティに着ていったディオールのドレスや、ピアーゲッティが夏の夜会に着ていったセリーヌのシースをチェックするのである。彼女たちの素性については、雑誌に出ていて、金持ちで、信じられないくらい素敵な服を着ていること以外はほとんど何も知らないままに。私たちが若きジェットーセッターに魅せられるのには、よくわからない部分もある。そうしたジェットーセッターは、時に雑誌のコントリビューティングーエディクーといった華やかな仕事を持っていたり、一族のビジネス帝国を率いていたりすることもあるわけだが、そういう仕事自体は必ずしもそれほどプレスの注目を集めるとは限らないものである。たとえば、エアリンーローダーは確かにファミリー・ビジネスである。エスティーローダーのクリェイティブーマーケティング部エグゼクティブーディレクターかもしれないが、同じ肩書きでもこれがランコムやエリザペスーアーデンだったなら、一年に八回も『ヴォーグ』に登場するようなことはまずなかっただろう。また、彼女たちはロックフェラーやフォンーファーステンバーグといった名門の姓を持つことが多いが、やはり、姓が有名だからというだけで魅力的な写真が量産されるわけではない(ショーンーレノンがいい例だ)社交界の名花がファッションゲームにおいて果たすべき役割は、イベントにはクチュールードレス、ハンプトンズの夏のソワレには上流階級用のカジュアルな装いといったように、素敵な姿を披露することである。ゴシップが付き物の社交家たるもの、浮気がバレたり、偶然ガリアーノのドレスが滑り落ちて周りをあわてさせる。アレクサンドラーフォンーファーステンバーグドイツの公爵家に嫁ぎ、義母であるデザイナーのダイアンーフォン・ファーステンバーグと組んでビジネスを行っている。後述の名門ゲッティ家に嫁いだピア、ギリシャ元皇太子妃のマリー・シャンタルとともに、免税店DFSの大富豪を父に持つミラー三姉妹として有名である。