実際に家を建てるのは営業マンじゃない

2011.10.01

たしかに大手の商品は洗練され、素人にもわかるように展示場が用意され、たくさんの豪華なパンフレットで説明してくれます。営業マンもよく教育されていて礼儀正しく対応してくれます。あるときなどは、打ち合わせのときのコーヒーの仕度が手間取り、「どうぞお座りになってお待ちください」と声をかけても、みなさん直立不動のまま待っていました。でも、実際に家を建ててくれるのは、そうした営業マンではなく、私たちと接することのない現場の職人さんたちです。どれだけ真面目で、腕の立つよい職人さんを確保しているのか、新しい工法を身につけているのかはわかりません。そして、その人たちがそのメーカーのためだったら、ほかの仕事を放り出してくるくらいの気概を持っているかも問題です。それは継続して誠実に家づくりを手がけ、社長の目が現場まで行き届いている中堅の建設会社だからこそ、でき得ることなのではないでしょうか。何も大手の住宅メーカーがダメだといっているわけではありません。システム化され、素人にもわかりやすいように高度に規格化し、よりよい住宅を提供しようと日夜努力を重ねている姿勢はどこのメーカーも同じだと思います。システム化か進んでいるから建てた後のメンテナンスもすぐ対応(お金を出せばですが)してくれるわけです。だから安心だ、という声もよく耳にします。しかし、限られた予算内で自分たちが希望する家を建てようと、あれこれ情報を集めているうちに、また実際に住宅メーカーとつき合ってみて、大手にも弱点があることがわかったのです。工場のラインでつくられる規格化された住宅であるがゆえに、臨機応変の対応ができず、ほんの少しの変更でも高い金額になってしまうのです。「あなたは重箱の隅をつつくようなことばかり言って。私は某建設会社が気に入ったの。人間味のある社長といい、儲け主義だけでない親身な家づくりといい、私はそれを信じて某建設会社に賭けてみたいの」私がそういうと息子は、「そんなことわからないでしょう。よく考えてみてよ。もっと細かく1つひとつチェックして、他の会社の相見積もりをとって、予算もぎりぎりまで削らなくてはダメだよ」と言います。負けずに私も、1つひとつチェックするといったって、ネジの一本一本の良し悪しまではわからないでしょう。建物なんて素人はよくわからないんだから、手を抜こうと思えばいくらでも抜けるの。だからこそ誠意ある、信頼できる会社を選んだんでしょう。『ようし、いい家を建ててやろう』という気持ちが目に見えない一手となって出てくるのよ」と言い返しました。